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12 スキルって、どう使うんですか?

「アメリア?」
 

 ひきつった顔をしていたのか、エルクが不思議そうに首を傾げながら見つめてくる。
 キラッキラした紫の瞳。戦いとは無縁そうな美しい容姿をしているのに……16歳でレベル58……っ。
 つまり、死の大地はそれだけ恐ろしいところ。
 レベル2の私が足を踏み入れた瞬間、人生は終わる。

 これは、もうハッキリ言っておかないと。
 私の命がかかっている。

 
「え、エルク、様」
 

 そう呼ぶと、エルクは眉を寄せて、ムッとした顔をした。
 おっと、こんなことで機嫌を損ねられてはたまらない。私はコホンと咳払いをした。

 
「エルク」
 

 そう呼ぶと、寄っていた眉間のシワはなくなり、代わりにパッチリとした紫の瞳が見つめてくる。
 ほんと、仕草が大袈裟というか、かわいいというか。まあ、この際なんでもいい。

 
「大変申し上げにくいのですが」

「うむ」

「私はまだ、レベル2なんです。まだ北の大地に向かうのは難しいかと」
 

 これはつまり、初期レベルでラストダンジョンに向かうってことでしょう? 間違いなく、即死ね。結界があっても即死。

 
「なんだ、案ずるな。私が守る」

「エルク……」
 

 キラキラと輝いて見える、見えるけれどもっ。

 信用できなぁぁぁい!!!!

 
「それに、マルクもいる」

「エルク様ぁーーー!!」
 

 大きく手を振りながら、エルクにラブコールを送るマルクを見た。

 確かに、マルクは強い。
 でも、あの男はエルク命だ。エルクと私の二人がピンチになった時、どう考えてもエルクの方が勝算がありそうだとしても、あの男は絶対私を見捨ててエルクを助ける!
 私にはわかるわ。

 自分の身は、自分で守るしかないとっ!

 
「旅立つ日は決まっているのでしょうか」

「なるべく早く立とうとは思っている」

「そうですか……」
 

 今の結界持ちが長くないんだっけ。それは急ぐのもわかる。けど。私はまだ、死にたくはないの!

 
「エルクさ……エルク。三日、三日だけお時間をいただけないでしょうか」

「うん? 何をするんだ?」

「いえ、少し、旅立ちの準備を……」
 

 エルクは顎に手を当て、何やら考え込んでいたが、やがて顔を上げてキッパリとこう言った。

 
「私も共に行こう」

「………………」
 

 あなたが一緒だと困るから、時間をくれと言っているのですが?

 
「エルク、レディーには身支度というものが必要なのです。教わりませんでした?」

「う、む……そうか……」
 

 エルクは目に見えてしゅんとした。耳とか尻尾とかが付いていたなら、力なく垂れているだろう。
 エルクはトボトボと歩き、マルクの元へ行くと、これまでの経緯を話していた。
 自分はついて行きたいけれどどう説得したらいいか、を力説しているのが丸聞こえよ。まったく……。
 

「そういうことなら、お嬢、ご自由に」
 

 マルクは豪快な笑顔を浮かべ、グッと指を突き出してきた。俺は女心のわかる男だぞ? キラーン、と言っているのが透けて見えるようだ。家臣は上の者に似るのかしら……。考えていることが丸見えだ。
 まあ、今回はありがたいに超したことはない。

 意外なところから裏切りにあったエルクは、少し呆然として、やがてガックリと肩を落とした。

 
「アメリア……達者でな……」

 
 まるで永遠の別れね。大袈裟な。

 
「餞別をやろう……持って行くといい」
 

 エルクはポケットから小さな小瓶を取り出すと、私に差し出してくる。
 なんだろう、これ。液体? 緑色をしているけれど……。怪しい。
 ジーッと瓶を見ていると、マルクがコホン咳払いをした。

 
「お嬢、それはエルク様の治癒の力が込められている特別製だ」

「えっ!」
 

 治癒の力が?
 なんてチートアイテムっ……! ありがたく受け取っておこう。
 私はチートアイテムをカバンの中にしまった。

 
「あ、それで。一つ、聞いておきたいのですが」

「うむ、なんでも申せ」

「スキルって、どう使うのでしょう?」

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