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51 魔物が生まれる条件

 魔物は、人の負の感情から生まれるんだ!

 と、そう説明していたのは、いったい誰だったか。

 果たして、最初に出会ったウサギか、それとも――。

 
「どうして魔物がお城から!?」
 

 これじゃあ結界を張っても意味がない。
 まさか外からではなく、内から湧き出てくるなんて。そんなチートなこと、あるっ?

 
「魔物というのは、一見すると肉体を持っているように見えますが、そこに心はありません。憎悪、嫉妬、恐怖、絶望、殺意、など、とにかく闇の感情と呼ばれるモノから産まれます」

「それでっ!?」
 

 私とマルクはお城に向かって駆け出しながら会話を続ける。

 
「初めはそうやって生まれ、王ができ、やがて地に蔓延り、群れを作ります」

「まさか、魔物も結婚したりするのっ!?」

「そこまでは知りませんが、闇の感情が重なるとさらに強くなると言いません?」

「憎しみは憎しみを産む、みたいな?」

「そんな感じでしょう」
 

 それってつまり、群れを作られたら永遠と闇の感情が増幅して、増え続けるってことでしょっ!?

 ちょっと待って!

 なにそれっ、大元を正さないと意味ないじゃないっ! 

 
「お城からってことは、やっぱりこの魔物を生み出した元凶はクリード王子っ?」

「俺は見たことないから知りませんよ、お嬢」
 

 ハッハッハ! と軽快に笑うマルクを見て、頼りにならないと悪態をつく。

 
「っと、お嬢、危ない!」

「え」
 

 マルクが私の前に躍り出て、剣を抜く。一振で、目の前の魔物を真っ二つにした。
 そしてさらに飛び出してきた魔物を、そのままの流れで一気に横に振り払う。ズバッと、魔物が横に切れた。

 というか、待って待って。これ、多すぎて、ウィンドウが、まったく役に立たないんだけどーーっ!?

 延々と魔物の名前が表示されるウィンドウを見て、絶望感に包まれる。

 と、私の真横から魔物が出現した。

 とっさに腰の剣を抜いて、横に薙ぎ払う。

 
「さすがお嬢、お見事!」

「はは……」
 

 今の魔物。
 私から産まれた?
 私が魔物の多さに絶望感を抱いた瞬間、魔物が現れた。今までそんなこと一度もなかったはず。

 魔物を生み出す元凶が近くにいるから?

 それって、まさかまさか、この辺りにいる人間が負の感情を抱いた瞬間、魔物に襲われるってこと!?

 マルクに伝え……なくてよさそうね。
 なんか、頭の中ハッピーそうだもの。

 これは、来る前にエルクに婚約を誓っておいてよかったかもしれない。

 フラフラした心で来ていたら、エルクの周り、今ごろ魔物だらけだったかもしれない。

 エルクが魔物に囲まれてるのを想像してしまって、ぶるりと身震いする。

 これじゃあ、城の中は悲惨だわ。間違いない。
 倒しても倒しても増え続ける魔物。
 そして、それがさらに恐怖を煽るという地獄のループ。

 
 お父様たち、家でじっとしててくれるといいけれど。
 なんだかんだ言っても、私の、家族だもの。

 早く、なんとかしないと。

 
「マルク、急ぐわよっ!」
 

 湧き出る魔物を切り刻みながら、夜の道を駆けた。

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